「来場者数が◯人だった」だけでは、ファンとの関係がどれだけ深まっているかは見えてきません。来場頻度、グッズ購入、SNSでの接触といった行動データを組み合わせて見ることで、ファンエンゲージメントの実態がより立体的に見えてきます。
この記事では、ファンエンゲージメントを高めるうえで行動データをどう活かすか、その考え方を整理します。
なぜ「行動データ」でファンエンゲージメントを見るのか
アンケートによる意識調査は、ファンが「どう感じているか」を知る手がかりにはなりますが、実際の行動と意識が一致するとは限りません。来場・購買・SNS接触といった行動データは、ファンが実際にどう関わっているかを直接示す情報であり、意識調査と組み合わせることでより実態に近いエンゲージメントの姿が見えてきます。
ファンとの関わりには段階がある
ファンとクラブの関わり方は一様ではありません。存在を知っているだけの段階から、試合に足を運ぶ段階、継続的に応援する段階、周囲に勧めるほど熱量が高い段階まで、関わりの深さには幅があります。行動データを見るときも、すべてのファンを一律に扱うのではなく、どの段階にいるファンなのかを意識することで、施策の打ち手がより具体的になります。
行動データで捉えられる指標
エンゲージメント
来場頻度、SNSでの接触(フォロー・投稿への反応等)、グッズ購入といった関与度を示す指標です。単発の来場者と、継続的に接点を持つファンとでは、同じ「来場」でも意味合いが異なります。
リテンション
継続来場率や会員継続率など、関係がどれだけ続いているかを示す指標です。新規ファンの獲得と同じくらい、既存ファンとの関係をどれだけ維持できているかが重要になります。
LTV(顧客生涯価値)
来場・グッズ購入・会員継続などを通じて、1人のファンが長期的にもたらす価値を示す指標です(スポーツマーケのROIを語る際の考え方は「スポーツマーケのROIを数字で示す方法」で解説しています)。単年の売上だけでなく、関係の長さを踏まえて評価する視点になります。
データの集め方
行動データは、会員ID基盤への登録情報、チケットやグッズの購買履歴、SNSでの接触データなど、複数のデータソースを組み合わせて捉えるのが基本です。加えて、Jリーグが実施する観戦者調査のような業界横断の公開調査も、自クラブのデータを解釈する際の参考情報になります。
取り組むうえでの注意点
- 単一の指標に頼らない:来場者数だけ、SNSのフォロワー数だけといった単一指標では、エンゲージメントの実態を見誤ります。複数の指標を組み合わせて見ることが重要です。
- 個人情報の取り扱いに配慮する:行動データの多くは個人を特定しうる情報を含みます。取得目的を明確にし、利用範囲や保管方法についてプライバシーへの配慮を前提に設計する必要があります。
- データ取得の目的を先に決める:「とりあえずデータを集める」のではなく、何を改善したいのか(継続来場を増やしたい、グッズ購入を促したい等)を先に定めることで、集めるべきデータと分析の切り口が明確になります。
より詳しく知りたい方へ
ファンエンゲージメントを高める行動データの活かし方を、より体系的に押さえておきたい方向けに、Brand Insight では「ファンエンゲージメントを高めるファン行動データ活用法」を無料公開しています。ファンの段階と行動変容、エンゲージメント・リテンション・LTVの測り方まで、クラブのマーケ・ファンサービス担当向けにまとめた実務ガイドです。下記よりダウンロードいただけます。
まとめ
ファンエンゲージメントは、来場者数のような単一の数字だけでは捉えきれません。来場・購買・SNS接触といった行動データを、ファンとの関わりの段階を意識しながら複数の指標(エンゲージメント・リテンション・LTV)で見ることで、施策の打ち手がより具体的になります。個人情報への配慮とデータ取得目的の明確化も忘れずに取り組むことが重要です。

