「今シーズンの協賛、効いている気はするけれど、数字で説明してと言われると困る」——スポンサー企業側にもクラブ側にも、こうした場面は少なくありません。協賛の効果測定は何から手をつければいいのか、その入口で立ち止まってしまうケースが多いのが実情です。
この記事では、感覚で語られがちな協賛効果を、実務で使える数字に変えるための3つのステップを整理します。
なぜ協賛効果は「感覚」で語られがちなのか
協賛の露出は、試合中継からSNS、Webメディアの記事まで多くの媒体にまたがります。ひとつの媒体だけを見ても全体像はつかめず、媒体をまたいで比べるための共通のものさしも標準化されていません。さらに、売上や認知の変化が協賛によるものか他の要因によるものかを切り分けるのも簡単ではありません。
こうした事情が重なり、「なんとなく効いている」という感覚のまま止まりがちです(測定が難しい理由の全体像は「スポンサーシップ効果測定とは」で解説しています)。ここから先は、感覚を数字に変えるための実務手順に絞って見ていきます。
感覚から数値へ変える3ステップ
ステップ1:今の協賛を棚卸しする
最初にやるべきことは、指標を決めることではなく、現状の露出を洗い出すことです。テレビ中継での掲出、Web記事への掲載、SNSでの投稿・言及、会場内の看板など、シーズン中に協賛がどの媒体でどれだけ露出したかを一覧化します。
この棚卸しをせずにいきなり「価値換算」に進むと、抜け漏れのある媒体の露出が数字に反映されず、過小評価につながります。地味な作業に見えますが、ここが数値化の土台になります。
ステップ2:3つの層で指標を決める
棚卸しした露出を、次の3つの層に分けて指標化します。
- 露出:掲出回数、露出時間(秒数)、推定リーチなど、露出そのものを数える指標
- ブランドリフト:協賛への接触によって、認知・好意度・利用意向がどう変化したか(詳しい設計方法は「協賛のブランドリフト測定とは」で解説しています)
- 事業成果:問い合わせ増加、商談化、来店・購買への寄与など、事業側の成果に近い指標
3層すべてを毎回フルスケールで測る必要はありません。まずは自社が「どの層まで測れているか」を把握することが先決です。
ステップ3:定点観測して比較する
指標を一度決めたら、シーズンごと・年度ごとに同じ条件で測り続けることが重要です。単年の数字だけでは「良い」か「悪い」かの判断がつきません。前年比、目標比較、他媒体との比較があって初めて、更新提案や社内報告で使える数字になります。
継続測定の型ができれば、翌シーズン以降は棚卸しの手間も小さくなり、数値化がルーチン化していきます。
まず自社の現在地を診断してみる
3ステップの全体像は分かっても、「自社が今どこまで測れているか」を把握するところでつまずくケースは多くあります。Brand Insight では、露出・ブランドリフト・事業成果の3層に沿って、自社の協賛効果測定の現在地を24項目・10分で診断できるチェックリストを無料で公開しています。まずは現在地を確認し、次に何を測るべきかの手がかりとして活用いただけます。
まとめ
協賛効果を感覚ではなく数値で語るには、①現状の露出を棚卸しする、②露出・ブランドリフト・事業成果の3層で指標を決める、③定点観測して比較する、という3ステップで進めるのが実務的です。一度に全てを完璧に測ろうとせず、まず自社の現在地を把握するところから始めることが、数値化の第一歩になります。

